What is ergothioneine?

―エルゴチオネインとは―

長寿ビタミンとして注目を集める天然化合物

エルゴチオネインは希少アミノ酸の一種で、キノコ(担子菌類)や麹菌などの真菌類、放線菌、シアノバクテリアといった一部の微生物のみが合成する天然化合物です[1]。近年、適切に摂取することで慢性疾患や早期老化のリスク軽減をする化合物群として名づけられた“長寿ビタミン”の筆頭として紹介され、その機能的可能性に大きな注目が集まっています [2]。

図1. エルゴチオネインの分子構造
(生理的pH条件下)

優れた抗酸化活性と安全性

エルゴチオネインの最大の特徴は、強い抗酸化作用で、様々な疾患や皮膚の老化を引き起こす有害な活性酸素種(ROS)を無毒化する働きをもっていることです(表1参照)。一重項酸素に対しては、ビタミンAのみが高い還元性をもつとされてきましたが、現在では、生体内環境下において、一重項酸素に対する反応速度はエルゴチオネインがビタミンAを上回ると考えられています[3]。さらに、ROSの中でも有害なヒドロキシルラジカルの発生を抑制・還元することができ、生体の有する抗酸化防御システムを補う役割をもつと同時に、摂取後の高い安全性も報告されています [4, 5]。

表1. 活性酸素種(ROS)の種類とエルゴチオネインの還元能

酸化ストレスに対処するためのエルゴチオネインの蓄積機構

摂取されたエルゴチオネインは、特に酸化ストレスの影響を受けやすい臓器や細胞に高濃度に蓄えられることが知られています[6]。体内には、エルゴチオネインを効率よく取り込むためのエルゴチオネイントランスポーター(ETT)が存在し[7]、エルゴチオネインが高濃度に蓄積されている臓器には、ETTが多く発現していることが示されています [8]。例えば、紫外線による酸化ストレスを受ける皮膚にはエルゴチオネインが高濃度に蓄積されていますが、表皮のケラチノサイトにはETTが多く発現しています[9]。

様々な疾患に対する作用

エルゴチオネインには、神経変性疾患(アルツハイマー病やパーキンソン病)、うつ病、紫外線による肌老化(シワやシミ)、白内障、心血管系疾患、酸化ストレスの抑制など様々な作用が期待されています。
上述のように、エルゴチオネインには生体内に蓄積する機構をもつものの、その蓄積量は加齢とともに低下することが知られています。軽度の認知機能低下を示す高齢者では血漿中のエルゴチオネインレベルが低いことが報告されていることから、エルゴチオネインを補うことで認知機能の低下を抑制する作用も期待されています[10]。まさに、エルゴチオネインを“長寿ビタミン”と呼ぶ所以です。

参考文献

  1. Borodina, I., et al. The biology of ergothioneine, an antioxidant nutraceutical. Nutr. Res. Rev. 2020, 33: 190–217.
  2. Ames, B.N. Prolonging healthy aging: Longevity vitamins and proteins. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2018, 115: 10836–10844.
  3. Rougee, M., et al. Deactivation of singlet molecular oxygen by thiols and related compounds, possible protectors against skin photosensitivity. Photochem. Photobiol. 1988, 47: 485-489.
  4. Chu, W. EFSA classes antioxidant l-ergothioneine safe for kids and pregnant women. NUTRA ingredients com. 15-Nov-2017.
  5. Turck, D., et al. Safety of synthetic L-ergothioneine (Ergoneine ®️) as a novel food pursuant to Regulation (EC) No 258/97. EFSA J. 2016, 14:4629.
  6. Cheah, I.K., et al. Ergothioneine; antioxidant potential, physiological function and role in disease. Biochim. Biophys. Acta 2012, 1822:784–793.
  7. Gründemann, D., et al. Discovery of the ergothioneine transporter. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2005, 102:5256-5261.
  8. Kato, Y., et al. Gene Knockout and Metabolome Analysis of Carnitine/Organic Cation Transporter OCTN1. Pharm. Res. 2010, 27:832-840.
  9. Markove, N.G., et al., Skin cells and tissue are capable of using L-ergothioneine as an integral component of their antioxidant defense system. Free Radic. Biol. Med. 2009, 46:1168–1176.
  10. Cheah, IK., et al. Ergothioneine levels in an elderly population decrease with age and incidence of cognitive decline; a risk factor for neurodegeneration? Biochem. Biophys. Res. Commun. 2016, 478:162-167.

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